断片小説 教祖
加藤は教祖きどりで、友人の下田に今日も説教をしている。
「神は考えてはいけない、信じろ」とか「カルマを浄化するため修行しろ」などと、もっともらしいような屁理屈を延々と話している。
下田の方といえば別に宗教などに興味は無く、加藤のえらそうな態度を忌々しく感じているだけである。
下田が加藤の言葉に反論でもしようものなら、加藤の嫌がらせが何日も続くことになる。

加藤が下田に言う。
「この世界がまだ崩壊しないのは、俺が念力で祈っているからだ」
下田が不快な気分で言う。
「じゃあ、あんたが祈るのを止めたら、世界は崩壊でもするっていうのかい!」
「まあ、そういうことかな」
「じゃぁ、そうしてみろよ」
「いや、俺は人類を愛しているから、それはしない」
「それじゃ、何の証明にもならないじゃないか!」下田が業を煮やして強く言った。
「お前は地獄に落ちるぞ!」加藤が目を吊り上げて激怒した。
結局、加藤と下田の会話は、いつも加藤の激怒することで終わる。

教祖きどりの加藤は、下田を子分としてしか扱っていない。
そんな加藤の態度に憤慨した下田は、もう二度と加藤に会わないことを決意する。
単純明快な選択であった。
「そうか、あいつは俺のこと最初から友人とは思っていなかったんだな」
教祖のアイデンティティーは信者に支えられている。
教祖のたわごとを信じるものが誰もいなければ、それはただの妄想におびえる病んだ狂人に過ぎない。
下田は、そのことに気づくと楽しい気分がよみがえってきた。

その後、加藤は病んだ精神が悪化し病院に監禁されているという。
下田といえば、地獄に落ちることも無くカルマに脅されることも無く今日も人生を楽しんでいる。  
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