蘭学者と霊能者
江戸の町に有名な霊能者がいた。
その霊能者は、5年ほど前から突然悪霊や守護霊や後光が見えるようになったと言う、もっぱらの噂である。
人々はその霊能者にお伺いをしてもらいための、10両100両と高額のお伺い料を払った。
今ではどこぞの由緒があるかのような、豪勢な神殿まで建てられていた。
行列が出来る霊能者として、何度も瓦版の話題になってる。

そんな霊能者が、ある蘭学の医者にお忍びで診療に来ていた。
「先生、近頃なんだか頭が痛いのです、人々の業を背負ったからでしょうか?それとも悪霊のせいでしょうか?」
霊能者は医者に言った。
「霊が突然見えるようになったのは、いつごろかの?」
医者は霊能者に聞いた。
「5年位前に、突然に見えるようになりました」
霊能者が、自慢げいった。
「ほう、突然に・・・」
医者は考えながら言った。

「そうです、何の前触れもなしに・・・守護霊や悪霊が見えるようになったのです」
「信心深いからでしょうか、日ごろの行いがいいから神様に選ばれたんですよ」
「おかげで神殿まで建てましたよ!」
霊能者の自慢はとめどもなく続く。

医者が、自慢話を遮って言った。
「ちょっと、あんたの頭を見せてもらえぬか・・」
そう言いながら、霊能者の頭を診察すると、その後頭部が大きく晴れ上がっている。
「この頭の腫れ物はいつごろからあるのかな?」
医者が霊能者に質問する。
「5年位前から、晴れ上がってます」
霊能者が言う。

「これほど大きな頭の出来物は見たことがない」
医者が気の毒そうに言った。
「どういううことでしょうか?」
おどろきながら霊能者が聞いた。
「この大きな出来物が、あんたの脳を圧迫しておるので、それ故幻覚が見えてしまうのじゃ!」
医者が言う。

「それじゃ、悪霊も守護霊もみんな幻覚だと・・・」
霊能者が憮然としながら言った。
「まあ・・・そういうことじゃ・・・」
医者は、もっと気の毒そうに言った。

「そんなわけはない!私は神に選ばれた霊能者ですぞ!」
「みんな、私のお伺いを聞いて10両100両と払っていくんですぞ!」
「ヤブ医者めっ!!」
霊能者は医者をののしった!

医者は絶望的に言った。
「あんたの命はもう長くはない・・・」

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