ネオ田沼意次の野望

「もう蕎麦の代金が三両もたまってますんで、払ってください」
蕎麦屋の主人が、田沼意次の親衛隊の侍たちに向かって言っている。
「なにぃ!俺たちに金を払えだとぉ・・・生意気な奴、こうしてくれるわ!」
そう言うが早いか、無頼の侍たちは蕎麦屋の主人に向かってライフル銃を数発ぶっ放した!
ドーンドーンという音と共に、蕎麦屋の主人が血を流して倒れた。
「俺たちに従わない奴は、みんなこうなるんだ!」
田沼の親衛隊の侍が、騒ぎを見ていた群衆に向かって叫んだ。
倒れて死んだ主人にひれ伏して蕎麦屋の女将が号泣している。
それを見た無頼の輩が言う。
「もう後家さんになっちまったんだ!俺のところへ来て妾ににでもなれ!」
女将の腕をムンズと掴んで、侍たちは武家屋敷の方角へ消えていった。

「ひでぇ奴らもあったもんだ!、酷すぎるぜ・・・」
蕎麦屋の影から見ていた、ラットマン治郎吉が小声で言った。
「それに奴ら、20世紀のライフル銃まで持ってるってのが怪しすぎるぜ!」
治郎吉は、顎に手をやりながら考えている。
「今晩あたり、田沼意次の屋敷にでも偵察にでも行って見るとするか」
まだざわめいている通りを眺めながら、治郎吉も何処かへと消えていった。


「今晩は月も今夜は出ていないようだ・・・勿怪の幸いだ」
治郎吉は、田沼意次の屋敷の天井裏に忍び込んだ。
「おお・・ここだぜ、田沼の部屋は・・・」
と小声で言った治郎吉の近くで、人の気配がする。
「お・・おめぇ・・誰だっ!」

「あっ!お前・・ラットマン治郎吉じゃないか!」
JP11が驚いて言った!
「しっ!声を出すんじゃないっ!」JP3が人差し指を口にあてて言った。
「あ、あんたら、時間警察の刑事じゃねーか、こんな所で何やってんだよ・・」
治郎吉も驚いて言う。
「治郎吉・・・やっぱり生きてやがったんだなっ!」JP3とJP11が同時に言った。
「生きてて悪いか!そう簡単に死んでたまるもんか!」治郎吉が答える。
「お前も、こんな所で何してる?」時間刑事のJP3が言う。
「なにやってるって、田沼意次を偵察してるのよっ!」治郎吉が言う。
黒ずくめの忍者スタイルのJP3が、治郎吉に向かっていった。
「あの田沼意次は偽者だっ!これを見ろ!」
生体計測器を見せながらJP3は、下の部屋で密談をする田沼意次の生体反応のデータを見せた。
「こ、こいつぁ・・・・24世紀の人間か・・・・」治郎吉が驚いて言う。
「そうだ、あいつは、タイム・トンネルを潜ってやってきた24世紀の独裁者タヌーマンなのだっ!」JP3が言う
「24世紀に、人類を滅亡させようとしたあいつなのか・・・」治郎吉が驚嘆した。
「独裁者タヌーマンは、この時代で世界制服をもくろんでいるらしい。核兵器まで準備してな!」JP3が忌々しく言う。
「核兵器まで作ってるのか、奴は!」治郎吉があきれて言う。
「今ここで撃ち殺してやる!」JP11が逸って言った。
「だめだ、ここで奴を殺しても歴史はもとに戻らん・・・本物の田沼意次を助けなきゃな・・・」JP3が考えながら言った。
「こで騒ぎをおこしちゃ、俺たちの命も危ねーぜ!なにしろ冷酷な親衛隊は何百人もいるからな」治郎吉が言う。
多勢に無勢、いくら未来の武器をもってしても、これだけ大勢に囲まれては逃げ切ることはできないだろう。

「この江戸がおかしくなっちまったのは、3年位前からだぜ」
治郎吉が言う。
「そういえば、3年前には日光の東照宮で家康の大法要があったな」
JP3が思い出しながら言う。
「そうだ、あの時に本物の田沼意次も参列したらしいが、そのとき入れ替わったんだろうな!」
治郎吉が、腕を組みながら言った。
「歴史が変わってしまったターニングポイントは、3年前の日光東照宮だっ!」
JP3が言うと、JP11もうなずきながら同意した。
2人は、腕のタイム・ブレスレットを操作し、3年前の日光へとワープしていった。
「お、おい・・俺を置いてくなよ・・」
そう言うと、治郎吉もブレスレットで東照宮へワープしたのだった。



大法要を終えて、岐路に着こうとしている田沼意次の行列の前に、3人は突然出現した。
現れたと同時にレーザーガンを麻痺にセットし、田沼の家来たち数十人を気絶させた。
「こんなに家来が大勢だと、話がややこしくなってくるからな」
JP3が申し訳なさそうに言った。
「仕方ないでしょう、家来には眠ってもらった方が安全ですから」
JP11が言う。
「しかし、あんたらも派手だね!」
治郎吉があきれて言う。

豪勢な籠の中で田沼意次が何か言っている。
「どうした?なにが起こった?」
「わたしたちは、日光の天狗でございます、田沼様をお守りに参上仕りました!」JP3がもっともらしく言った。
「・・・えぇ・・天狗って・・・」治郎吉が驚いて言う。
続けてJP3が、田沼に言う。
「田沼様を暗殺しようと企てる無頼の輩が、もう直ぐ現れます。さあ、こちらへおいでください」
そう言いながらJP3は、田沼を大名籠から連れ出し、近くの森の中へ隠した。

静まり返った籠に、突然小型のミサイルがどこからとも無く打ち込まれ、ドーンと言う爆音とともに大名籠は跡形も無く消滅した。

「奴らが来たぜ!」治郎吉が言う。
「レーザーガンを最大殺傷にセットしとけよ!」JP3がJP11に言う。
最大殺傷にセットされたレーザーは死体を蒸発させてしまう威力がある。
時間刑事らの、その時代に証拠を残さないための手段でもあった。

独裁者の手下が十数人現れ、バラバラになった籠のあたりでうろうろしている。
その隙に、3人はレーザーを浴びせかけた。
油断していた独裁者軍団は、アッという間もなく舜殺で消えていった。

「しかし、独裁者のタヌーマンがいないのは・・・」
・・・とJP3が話している瞬間、彼の背後からレーザー光線が放たれ、JP3はもんどりうって地面に倒れた。
治郎吉とJP11は、背後から忍び寄ってきた独裁者を、同時に撃った!
タヌーマンは一瞬に蒸発した。
「JP3〜!!」
2人は、JP3に駆け寄った!
「うう・・」と唸りながらJP3は気がついたようだ。
「死んだかと思ったぜっ!」治郎吉が言った。
「こんあこともあろうかと、体全体にフォースフィールドをはっておいたのさっ!」JP3が言った。
「びっくりさせるぜっ!」治郎吉が言う。
「俺のこと心配してくれたのか・・・」ふふふっと笑いながらJP3が言った。

杉の大木に身を隠していた、本物の田沼意次が近づきながら言った。
「おぬしたち・・・何物・・?天狗には見えんが」
面妖な顔つきで言う田沼の言葉をさえぎるように時間刑事が言う。
「ゆえあって人間の形に身をやつした、天狗でござる。」
納得しかねる様子だったが、意次は言った。
「そうか、それはかたじけない・・・それにしても、きゃつめらは何故ワシを襲ってきおったのだ?」
「それは、聞かぬが花ということに・・・」口ごもってJP3が言った。
「それより、あんたの家来を起こさなくてもいいんですかい?」治郎吉が田沼に向かって言った。
「おおそうじゃな、そうしよう・・」そう言いながら、田沼は気絶した家来を起こしに行った。

「これでこの件は一件落着ということですね!」JP11が言う。
「まぁ、そーゆーことだな」JP3が言った。
「でも、このラットマンの件はどうします」JP11が言う。
「えっ・・俺のこと・・・」ラットマン治郎吉があせって言う。
「ラットマンは猫に食われて死んじまったよ!」JP3が言う。
「しかし・・!」とJP11。
「間違って報告したとなると、始末書とか大変だしな・・」JP3が言った。
「そうですね・・」JP11も答えた。
「さぁ、帰るとするか」JP3がJP11に言う。
「はいっ!」JP11が言う。

「たっしゃでな!」治郎吉が2人に言った。
「死んでる奴にさよならは言えねぇ・・・」JP3が言う。
「なんか江戸弁になってませんか?」JP11が言う。
「おおっと、そうかい?・・・じゃ、あばよ!江戸時代!」
そう言いいながら時間刑事の2人は、もとの時代へと消えていった。

田沼意次の家来たちが目を覚まし始めた。
「おおっと、いけね!俺もおさらばだっ!」
そう言うが早いか、治郎吉ももとの江戸にワープして行った。


「おーい、いま帰ぇったぜっ!」
八件長屋につくなり、治郎吉がかみさんに言う。
「いつまで、ほっつき歩いてんだよ!味噌汁が冷めちまったじゃないかい!」
「おう、すまねーな、汁飯にでもして早ぇーとこすませて、子作りに励もうじゃねーか、なぁ・・・」
「いやだねぇ・・・おまいさん・・・」
「まんざらでもねーって、顔つきだぜ、おめえ・・」
「もうっ!」
江戸の夕日が静かに沈んでゆく。

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