ワイルド・キャット電気店

ワイルド・キャット電気店の山猫のジョンが、今日もCDの音楽を流しながらリアカーを引いている。
音楽は懐かしいフォークソングを流している。
「まいどぉ〜!ワイルド・キャット電気店でございます!
いらなくなった電化製品、壊れた電化製品、どんな電化製品でも買い取ります!
メザシ、シシャモ、アジのヒラキ、ホッケの干物などと交換いたします。」
しかし、物を捨てない昭和猫町の住人が電化製品を売ることはあまりない。
電化製品は言うに及ばず、ほかの物も大切に修理して使われるので、粗大ごみなどほとんど出ない。

誰かがジョンを呼びつける。
「ワイルド・キャット電気さ〜〜ん!」
遠くで呼びかける声の方角に向かって、ジョンはリアカーを走らせた。
閑静なお屋敷の前で、上品そうな奥さんがジョンの来るのを待っていた。
「ワイルド・キャット電気さん、扇風機が壊れてしまったの、引き取ってくれる?」
その女の人がい言う。
「はい、扇風機でも何でも引きとりますよ。この扇風機だとメザシ5匹ですね」
山猫ジョンが言った。
「メザシ、も1匹おまけして」奥さんが言う。
「じゃあ、メザシ1匹おまけねっ!」
ジョンは、壊れた扇風機とメザシ6匹と交換した。


ワイルド・キャット電気店に戻って、ジョンは壊れた扇風機の修理を始めた。
いくつかの螺子をはずし、モーターの部分を覗いている。
パカリと開いたモーターの中には、グッタリと疲れきった、栗鼠の林太が居た。
「もう、だめです・・・何か食べ物をください・・・」
瀕死の栗鼠の林太は、ジョンに向かってたのんだ。
ジョンは、あわてて修理棚に置いてある大きな瓶の中から、大粒のドングリを林太に差し出した。
栗鼠の林太は小さな手で、そのドングリを掴むとガリガリと食べはじめ、あっという間に1個なくなってしまった。
「まだ、ダメです・・」
栗鼠が言うので、ジョンは大粒のドングリを3個、林太に食べさせた。

ドングリを食べ終えると、一息ついた栗鼠の林太が言った。
「ふぅ・・・・やっと元気がでましたよ・・」
ドングリの瓶の蓋を閉めながら、ジョンが言う。
「いったいどうしたっていうんだい?」
栗鼠が、お腹いっぱいで丸くなった、腹をなでながら言う。
「あそこの奥さんはケチでね、餌をあまりくれないんですよぉ・・・!」

昭和猫町の電気製品は、ほとんどが栗鼠やモモンガやネズミやヤマネが動かしている。
電気で動く製品もあるのだが、電気が高価なうえに不足がちである。
したがって環境面での配慮もあり、こうした小動物たちの原始力にまかせてあるのだ。
モーターで動くものは、動物たちにまかせているものがほとんどである。
自動車などは、形はガソリンで動いているように見えるが、実のところただの自転車であることが多い。
モーターで走っている自動車も、モーターの中では猫やイタチが走り回しているのである。

栗鼠の林太は、愚痴をこぼしながら、ジョンの入れたコーヒーを飲んでいる。
「あそこの奥さんは、お金持ちと言う噂だったけど、そうとうなケチでしたよ」
ジョンが言う。
「1日ドングリ20個が契約条件なのになぁ・・・」
林太が怒りながら言う。
「1日3個しかくれない日もあったんですよ!」
「そりゃあ、ケチ過ぎる!」ジョンも同意した。

「また、他のところで扇風機を回すかい?」
ジョンは栗鼠の林太に言った。
「ああぁ、そうだね。今度はちゃんと餌をくれる人んところでね!」
「じゃぁ、また扇風機を売りに出すよ!」ジョンが言う。
「OK!」林太も言う。

ワイルド・キャット電気店の店先のショーウィンドーには、ピカピカに修理された、栗鼠の林太動力の扇風機が並べられた。
林太は、扇風機が売れるまでの間ジョンの家で居候することになったようだ。

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