夢のお告げ

男は、夢のお告げを生活の基盤としていた。
何をするにも夢で見たとおりに行動するのだ。
何を食べるか、どこへ行くか、それらのすべてが夢のお告げで決められていた。
嫌なことでも夢のお告げがあれば、その様に行動するのである。

今日も男は夢の中でお告げを心待ちにしていた。
男の夢の中で、モアモアと光輝くような靄が発生すると、その中から神様のような人物が現れた。
「おい!おまえ、起きろ!」
その神様のような人物は、夢の中で寝ている男に向かって言った。
「あ、あなたは誰でしょうか?」
男は恐る恐る聞いてみた。
「ワシか・・・わしは夢の神様じゃっ!」
男は、恐れ多くてひれ伏した。

「何も、そんなにおびえなくても良いぞっ!」
夢神様は、男に言った。
「なんでもお前は、1日の行動をすべて夢を基準にしているそうだの?」
「はい、そうです、何でもあなたの言うとおりにしています」
男はひれ伏したまま、夢神様に言った。
「うむぅ・・ワシは何も指示などしておらんぞ」
神様は、その長く白い髭をなでながら困った表情で男に言った。
「えっ?どーゆーことなんでしょうか?」
男はひれ伏した顔を上げながら、困惑しながら問い正した。
「あのな、わしは夢の神様じゃが、お前の夢の中に出てきたのは、今回で最初で最後じゃ!」
夢神様が強い口調で言う。
「じゃあ、今までの僕の夢のお告げは何なんでしょうか・・・」
さらに困惑しながら、男が言った。
「それはなぁ・・・ただの出鱈目の夢に過ぎん!!」

「・・・えええっ・・」
男の表情が、困惑から驚きの表情に変わった。
「ただの出鱈目で無秩序な夢だったのですか」
さらに男の表情は、落胆の表情になっていった。

「そうじゃ!ただの無意味な夢に過ぎん!!」
神様は、さらに強い口調で男に言った。
「夢のお告げと言うものはのぅ、そう簡単に告げられるものではないのじゃ。」
「ましてや、毎日のように指示があるわけではない」
「それに、なんといっても、夢のお告げを受けるだけの人徳ちゅーもんがその人にないとのぅ・・・」
「そんじょそこらの平民に、夢のお告げなどめったに告げられるもんではないのじゃ」
「高潔な人物とか、志の高い人物とか・・・そういう人にしか与えられんもんじゃ!」

男が愕然となりながら言った。
「それじゃ、今までの僕の人生は・・・・・」

「そこでじゃ、お前に最初で最後のお告げを授けよう!」
夢神様は慈悲深い表情で言う。
「夢のお告げなど信じるべからず!じゃ」
「自由に、自分の意思で何事も決めていくのじゃ」
「夢など気にせず、好きなものを食べ好きなところはゆくがいい!」
「自分のことは自分で決断せよ!」
「これが、お前に与える夢のお告げであるぞよ。」
「ゆめゆめ疑うことなかれぇ〜〜〜!!」
そう言うと、光り輝く靄に中へ夢神様は消えていった。

それから男は、夢のお告げのとおりに、夢のお告げを決して信じないことにした。

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